光条が絞りバネの回折で発生することを分かりやすく説明してみる


強い光源や、夜景などの中の点光源を、絞りを絞って撮るとこのようなキラッとした光条となります。光芒と呼ばれることもあるそうですが、ここでは光条と統一します。
光条を撮るには
光条は効果的に使うと印象的な写真ができますね。画像処理であとから加えたり、クロスフィルタを使うという手もありますが、通常は絞りを絞ることで発生する光学的な現象です。
光条の出方や形は使用するレンズによって変わります、光条の線の数は絞りバネの数で決まりますし、円形絞りではない多角形の絞りのほうが綺麗に長く出ます。上の画像は絞りバネ10枚のフォクトレンダーNOKTON 40mm F1.2で撮影したもので、絞り値は目一杯しぼってF=22です。
光条が発生する仕組みを回折現象で説明する
光条がどのように発生するか説明してみましょう。
いくつかのサイトで次のような図を見かけました。絞りの枚数と光条の本数の関係を説明する図ですが、少し間違いがあります。

正しくは次の図になります。違いは方向です、光条は多角形の角ではなく、辺の方向に伸びるのが正解です。このあとの説明で納得できるとおもいます。

光条は、光の性質である、回折という現象によって発生しています。回折というのは光や電磁波のみに限らずすべての波にみられる現象で、波の進行方向に障害物があるときにその背後に回り込んで進む現象をいいます。

左から来た波が、遮蔽物(ナイフエッジ)の背後に回り込んでいる様子です。直進してきた波は遮蔽物でさえぎられますが、その後方はナイフエッジの端を新たな点波源として波が広がって行きます(回折波)。
背後に回り込むことを説明する図として分かりやすいですが、より正しく描くと以下のようになります。

エッジ端が点波源となるため回折波上方向にも広がります。波が重なった位置では実際には波の合成がおきますが、直進分が無かったとすると、上下同じように回折波のみが広がってゆくと考えられます。
左からやってくる直進波をレーザーのように一本の幅の狭い光とすると、下の図のようにエッジで上下に広がり進んで行くことが観測できるはずです。エッジの直線と光の広がりの方向は直交します。

ここまでの説明で、光条が辺の方向に伸びることがイメージ出来るようになったと思います。
次の図のように、絞りバネが奇数だった場合に光条の線の数がその2倍となるのも、一つの絞りバネからその反対側にも回折波が発生しているからと説明出来ます。(偶数の場合は2本のうち一本が反対側とちょうど重なっている)

回折の実験
さて実験してみましょう。
光が遮蔽物のエッジで回折が起こることと、その広がりかたがこれまでに説明した通りになることを確かめたいです。
用意したものはこれ、プレゼンに使う用途のレーザーポインターと、スケッチブックと、メモ帳の一枚。

実験装置です!紙を立ててそのエッジにレーザーを照射します。

結果、ドーン

回折は上下方向にあらわれました。2本の光条を発生させ、観測することが出来ました。
光条の出る向きを確認するもう一つの方法
さてもうひとつ確認してみましょう。絞りの形を直接見るという方法です。
次の写真はフォクトレンダーNOKTON 40mm F1.2、絞りを絞ったときにレンズ側から覗いた画像です。つまり最初の写真撮影時の絞りのかたちです。きっちり水平を出して撮影しました。画像処理上がカメラの上ほうこうです。
10枚の羽根が見えますね。

よくみると、方向も見えます。上方向が頂点ではなく辺ですね、そして反時計回りにやや(10度くらい)傾いています。

元の画像を改めて見てみましょう。上下に光条の線がのびていて、こちらから見て時計回りに10度傾いています。
この方法でも、上の説明の通りの光条となっていることが確認できました。
まとめ
- 光条は回折で起きる
- 光条は角ではなく辺の方向にでる
- 回り込む側だけではなく反対側にも出る
- 実験で確認してみて納得した
ボケの大きさ、ボケ量 計算方法と検証画像
カメラにおけるレンズのボケの大きさ、ボケ量の話です。
このレンズはどのくらいのボケになるのか、どちらのレンズが大きくボケるのかということを考えるときにとても簡単に計算でき、直感的に理解できる方法がありますので紹介します。

(47mmのカードを持ってみた)
ボケの大きさの計算式
ボケの大きさは以下の計算で求めることができます。
式を見てわかる通りこれは有効口径の値そのものです。つまりボケの大きさは有効口径だけで決まりますし、定量的に例えば20mmの有効口径の時のボケは20mmですと直接求められるということです。
検証画像
画像をみてみましょう。直径が47mmのカードをつくり手に持ってもらっています、それをf=85mm F1.8つまり有効口径が47mmとなるレンズで撮影しました。画面中央の大きな玉ボケは約100m先の街灯の灯りです。同じ大きさとなっているのがわかりますね。
同じレンズでいくつかの合焦面までの距離を変えたものと、有効口径33mmのレンズでも撮影しました。いずれも玉ボケの大きさがカードの大きさと一致しているのがわかると思います。

(f=85mm F1.8 f/F=47mm)

(f=85mm F1.8 f/F=47mm)

(f=85mm F1.8 f/F=47mm)

(f=40mm F1.2 f/F=33mm)

(f=40mm F1.2 f/F=33mm)

(f=40mm F1.2 f/F=33mm)
少し詳細な説明
先程の式におけるボケの大きさとは、合焦面での見かけの大きさ[mm]という意味でした。また対象の点光源は無限遠にある場合に成り立ちます。
つまり、「無限遠の点光源のぼけの大きさは合焦面に置いた有効口径サイズの物と見かけの大きさが等しくなる」ということです。
無限遠ではない場合、ボケはこれより小さくなります。合焦面ではボケの大きさは0であり、そこから外れると急激に大きくなり次第になだらかな変化になり無限遠での最大値に漸近してゆきます。
実際に遠景は被写体に比べて十分遠く(10倍程度以上)の距離に置かれることが多いと考えられますので、無限遠を仮定した場合の計算で十分使えます。
計算式の導出
多くのサイトで説明されていますのでここでは省略します。レンズの公式から錯乱円径を求める方法でよいです。
これに、遠景距離を無限大への極限をとることで式が簡単になります。
さらにセンサー面ではなく合焦面で置き換えると投影比を1と無視できますしセンサーサイズの仮定をしなくてすみます。これによって上記の式が得られます。
まとめ
- ボケの大きさは合焦面で考えると簡単、直感的。
- ボケの大きさは有効口径だけで決まります、有効口径と一致します。
- フルサイズ、APS-Cといった、イメージセンサーサイズは無関係。
- フルサイズ用、APS-C用など、レンズのイメージサークルの大きさにも関係ありません。
- APS-Cクロップや、デジタルズームしても、影響ないです。
- フルサイズはAPS-Cにくらべ ボケやすいのか。同じ画角で同じF値なら有効口径大きくなり結果たしかにボケるといえなくもない。
おわりに
いくつかのサイトで解説されているボケの大きさですが、合焦面でのサイズに注目して、撮影画像つきで説明されているところがなかったので、このようなページをつくってみました。
掲載の写真について
モデル:
うさみみつ さん
機材:
ILCE-7
PFU RBMH 85mm F1.8 VM8518E
Voigtlander NOKTON 40mm F1.2 Aspherical
